認知症施設の利用者様の徘徊防止のポイント3選

認知症の方々が安心して生活できる施設環境を整えることは、非常に重要です。特に、徘徊行動は利用者様自身の安全だけでなく、施設運営における大きな課題の一つとなっています。適切な対策を講じることで、このような行動を未然に防ぎ、利用者様が安全に過ごせる空間を提供することができます。この記事では、認知症施設における徘徊防止のためのポイント3選を紹介します。これらのポイントを施設運営に取り入れることで、利用者様のQOL（Quality of Life）の向上にも繋がるでしょう。

１．認知症の利用者様の安全な環境づくり

認知症の利用者様の安全と快適性を確保するためには、施設内の環境を適切に整備することが重要です。これには、物理的な安全対策の強化と視覚的な工夫を組み合わせたアプローチが必要です。

• 物理的な安全対策

まず、物理的な安全対策としては、施設内の階段や出入り口に手すりを設置することが挙げられます。これにより、認知症の利用者様が移動する際の転倒リスクを減少させることができます。また、床材には滑りにくい素材を選ぶことが肝心です。特に、水回りや廊下など、利用者様が頻繁に利用するエリアでは、滑りやすい床材が事故の原因となることがあります。したがって、これらのエリアにおいては、滑り止め加工が施された床材を用いることで、より安全な環境を提供することができます。

• 視覚的な工夫を用いた徘徊防止策

次に、視覚的な工夫を用いた徘徊防止策です。認知症の利用者様は、環境の変化に敏感であり、不安を感じやすい傾向にあります。そのため、色彩や照明を工夫することで、利用者様が安心して過ごせる環境を作り出すこともできます。例えば、落ち着いた色合いの壁紙やカーテンを使用することで、心を落ち着かせることができます。また、夜間においても安心してトイレ等に行けるよう、ナイトライトを設置するなどの照明の工夫も有効です。

２．認知症の利用者様の心理的サポート

認知症の利用者様の心理的サポートは、その人らしい生活を支え、不安を軽減するために非常に重要です。この目的を達成するために、以下の二つのアプローチが推奨されます。

• 個別ケアプランの策定

認知症の利用者様一人ひとりは、独自の性格、趣味、生活歴を持っています。したがって、その人なりのニーズに合わせたケアプランを作成することが、心理的な安定を図る上で非常に重要です。例えば、音楽が好きな方には音楽療法を取り入れ、絵を描くことが好きな方には絵画活動を提供するなど、個々の趣味や興味に基づいた活動が有効です。これにより、自己表現の機会を得て、生活に彩りを加えることができます。

• コミュニケーションの重視

スタッフが利用者様一人ひとりと時間をかけてコミュニケーションを取ることで、不安を軽減し、徘徊行動の予防につながります。認知症の利用者様は、自分の感情や要求を言葉で表現することが難しい場合があります。そのため、スタッフが積極的に非言語的なサインや表情、身体言語を読み取り、適切なサポートを提供することが大切です。また、利用者様が自分の意見や感情を表現する機会を持つことで、自己効力感を高め、社会的な孤立感を減少させることができます。

３． テクノロジーを活用した徘徊防止策

ここでは、特にGPSトラッカーの使用とセンサーによる監視システムの導入という二つのアプローチについてみていきます。

•  GPSトラッカーの活用

GPSトラッカーは、認知症の利用者様が持ち歩くことで、その位置情報をリアルタイムで把握することができる小型デバイスです。家族やケアスタッフはスマートフォンやコンピュータを通じて、利用者様が現在どこにいるのかを確認することができるため、外出時の安全を確保することができます。万が一、利用者様が迷ってしまった場合でも、迅速に位置を特定し、保護することができます。このようにGPSトラッカーは、利用者様の自由を尊重しつつ、安全管理を行う上で非常に有効なツールとなります。

•  センサーによる監視システムの導入

もう一つのアプローチとして、出入り口や特定のエリアにセンサーを設置し、認知症の利用者様が設定されたエリアから離れるとアラートが鳴るシステムの導入があります。このシステムは、特に施設内での安全を確保するために有効です。徘徊しようとする利用者様を早期に発見し、スタッフが迅速に対応することができるため、不慮の事故に遭うリスクを減らすことができます。また、このシステムは利用者様の行動パターンを把握する上でも役立ち、より効果的なケアプランの策定にも役立ちます。

４．まとめ：認知症施設における徘徊防止のためのポイントは

①認知症の利用者様の安全な環境づくり

②認知症の利用者様の心理的サポート

③テクノロジーを活用した徘徊防止策

これらのアプローチを組み合わせることで、利用者様の徘徊防止と生活の質の向上が期待できます。

認知症に特化した当施設でも、多角的に徘徊防止の策を取り入れ、利用者様の安全を確保しています。認知症に関してお困りごとがあればお気軽にご相談ください。

ホームページURL：https://hanamomen.net/

電話：096-355-2858