認知症の親を施設へ入れる タイミングについて

認知症の親を施設に入れるタイミングは、一般的に、家庭での介護が困難になった場合です。例えば親が徘徊するようになり外出時の安全が確保できなくなったり、日常生活の基本的な自己管理が難しくなったりした時が、施設への入所を考慮するタイミングとされます。また、家族の介護者が肉体的、精神的に過大なストレスを感じ始めた場合も、外部の専門的な支援が必要なサインかもしれません。今回は施設入所のタイミングについてお伝えします。

１．認知症の施設もいろいろある

患者の状態や家族のニーズに応じて、最適な施設を選択することが重要です。

・特別養護老人ホーム

長期的な介護を必要とする高齢者向けの施設で、24時間体制での看護と介護サービスを提供します。認知症の進行が進んでおり、日常生活において多くの支援が必要な人に適しています。

・グループホーム

認知症の方を対象とした、少人数制の共同生活施設です。家庭的な環境で、利用者ができるだけ自立した生活を送れるよう支援します。日常生活のサポートだけでなく、社会参加やレクリエーション活動も積極的に行います。

・ショートステイ

家族介護者が休息を必要とする場合など、一時的に利用できる施設です。短期間だけ施設に滞在し、介護や医療サービスを受けることができます。

・認知症対応型デイサービス

日帰りで利用できる施設で、機能訓練や趣味活動、入浴サービスなどを通じて、認知症の人の社会参加と健康維持をサポートします。毎日ではなく、週に数回の利用が一般的です。

２．親が認知症、いつ施設を検討する？

親が認知症になったとき、多くの家族はいつ施設の入所を検討すべきか？という問題に直面します。具体的なタイミングをご紹介します。

・家庭での介護が困難になったとき

認知症の進行により、日常生活のサポートや安全の確保が家庭内で難しくなった場合、専門的なケアを提供する施設への入所を検討すべきです。徘徊や行動の問題、夜間の看護が必要になるなど、家族だけの力では対応が難しい状況です。

・家族介護者の健康や生活に影響が出始めたとき

介護による肉体的、精神的な負担が家族介護者の健康を害し始めたり、仕事や私生活に大きな影響を与えるようになった場合も、施設の支援を求めるタイミングです。

・親の医療ニーズが高まったとき

認知症だけでなく、他の医療的な問題が重なり、家庭でのケアが困難になった場合、医療機関と連携した専門的なケアが可能な施設への入所が望ましいです。

・親自身が安心して過ごせる環境を求めているとき

認知症の進行により、自宅での生活が不安を感じるようになったり、社会的な交流が少なくなったりしている場合、社会的な活動や同じ立場の人々との交流を提供する施設は、精神的な支えになり得ます。

• 介護認定の等級により、利用可能な施設が変わる

介護が必要になった際、利用者や家族は介護保険制度を利用します。この制度では、利用者の介護が必要な状態を「要支援」「要介護」として認定し、そのレベルに応じて利用できるサービスや施設が決定されます。

・要支援の場合

軽度の介護や支援が必要な「要支援」の認定を受けた場合、主に予防的な観点から日常生活の支援や機能訓練を目的としたサービスが提供されます。デイサービスセンターでのリハビリテーションや、訪問介護による生活支援が典型的です。

・要介護の場合

「要介護」認定を受けた場合、その等級に応じてより幅広いサービスが利用可能となります。要介護の等級が高いほど、日常生活における自立が困難と判断され、個別のニーズに合わせた多様な介護サービスや施設へのアクセスが可能になります。例えば、特別養護老人ホーム、グループホームなどがあり、これらの施設では24時間体制での介護や専門的なケアを受けることができます。

・施設選びのポイント

介護認定の等級に応じて利用できる施設が変わるため、施設を選ぶ際には、まず利用者の介護認定のレベルを正確に把握することが重要です。その上で、利用者の健康状態や好み、家族の意向を考慮し、適切な施設を選択します。また、施設によって提供されるサービスの内容や費用、施設の雰囲気などが異なるため、可能であれば実際に施設を訪れて見学し、スタッフとの相談を通じて情報を収集することが望ましいです。

３．一大決心だからこそ、専門家にしっかり相談

介護が必要になるという状況は、ご本人はもちろんのこと、ご家族にとっても大きな変化となります。特に認知症の診断を受けた場合、その変化は心に大きな負担をもたらすかもしれません。そんな時、専門知識を有するスタッフとのしっかりとした相談が、適切なサポートへの鍵となります。

熊本市にある「花もめん」では、ご家族やご利用者様の不安を解消し、共に解決していく姿勢で接しています。

介護は、ご家族とご利用者様にとって大きな一歩です。その道のりを安心して歩んでいただくために、専門家としっかりと相談しながら、一緒に最良の解決策を見つけましょう。